「誰?」


 名乗ったら、中からロックされるかもしれない。

 俺はドアを押し開けた。

 刹那、中にいた新山と目が合う。





 まず見えたのは驚き。

 次に動揺。

 そして後悔……させたのは俺だな。





 「朝は、ごめんね」


 ビビッたのは新山が笑いながら俺に言ったからだ。


 「いや全然……昨日のことだけど」

 「うん……」

 「ああいうこと誰にでもするわけじゃない」


 だけど、新山にもするつもりはなかった。






 軽いな、俺は。


 「ウチのこと、どう思ったの?」


 何て答えるべきだ?

 つき合うつもりもない新山に、俺は見たままを伝えていいのかよ?

 でも、嘘ついたら新山はもっと傷つくよな。



 「可愛い女だと思ったよ」

 「他の子たちは?」

 「ちょっと別だよな」


 新山は俺と視線を合わさない。

 ずっとうつむいたまま、昨日みたいな緊張はなく、肩を落として沈んでいる。