新山のことを屋上で話したあと、そのまんま外に出たせいで、カバンは教室。

 財布はポケットだから金には困らないけど、

 最寄の駅が分からねぇし、車呼ばないと帰れない。

 でも一時間目も終わってないのに車を呼んだら、あとで鷹槻に嫌味言われる。


 「寿様、今日は随分と早いお帰りだったそうですね。
 教えてくだされば会長のところへお連れ致しましたのに」





 結構だっつーんだよ。

 ジジイの顔なんか見たくもねぇ。




 勝手な想像に辟易してタラタラ歩ってたら、買い物袋を下げたおばちゃんが、

 俺に異質なものでも見るような視線を送っていた。




 ウゼェなぁ。

 制服のせいだ。




 服を買おうにも店がねぇ。

 周りは山、民家、山、畑、山、田んぼ。







 何でこんなところに学校があるんだよ?

 ここらじゃ一応名の知れた高校なんだろ?

 それとも、学校の数が少ないからみんな知ってるだけか?







 ゲェッ!! パトカーじゃん。


 ヤバ、補導される。

 だけどもう隠れるとかできねぇし。







 あーウゼェ。







 「そこの君、止まりなさい」

 「はい」


 体調悪そうな感じに振舞ってみる。