「ウチはウチでなんとかするから。ミッキー、昨日からありがとう。
 話し聞いて貰ったりして、楽になったから大丈夫だよ」


 奈々は笑ってる。

 いつものとは似ても似つかない笑顔で。

 寿に奈々と話すように言うのは、お節介かな?

 さっき寿が言った言葉、私には嘘だと思えないよ。

 真っ直ぐな目で奈々に直接言うって言った寿を、疑うことはできなかった。


 「ホント~? 良かった。私、教室戻ろっかな。奈々はどうする?」

 「もう少しここにいるよ」


 私は奈々を一人残して、保健室を出て行く。

 奈々、お節介だと思われても、私は言いに行くよ。

 このまんま、ほっとけない。

 きっと授業に出ているだろうと思って教室に帰ったら、寿はいなかった。

 次の時間には帰って来ると思ったのに、姿は見えない。


 「寿くんは~ぁ?」

 「ごめんね。分からないや」


 屋上の扉の前までついてきた女の子が私の席まで来たけど、そう答えるしかない。

 私だって捜してるよ。

 二時間目には奈々も戻ってきたのに、結局、寿は昼休みになっても現れなかった。

 帰宅したとしか考えられない。

 でも私、家なんか知らない。

 奈々に訊くわけにもいかないから、今日はお手上げかなぁ……