「あとで問題になったとき、男の言い訳で一番多いの、何だか知ってる?」

 「しっ知るわけないでしょっ!!」

 「だよな。あんたまだウブすぎる」


 カ~ッと身体が熱くなった。

 何か言い返したい。


 「あいつが俺を誘ったんだよ。魅惑的な仕草と、挑発的な言葉で」

 「ふざけないで!!」


 ギッと睨み上げたのに、寿は涼しい顔で笑ってる。


 「ちゃんと話聞いてたのか? 俺は、最後の誘いを断ったぞ」


 言ってることが全然分からない。

 だけどダイレクトに訊く勇気もない。

 どうしたらいい?

 やっぱり星哉に頼めば良かったよ……


 「キスでガキができるって言い張るんなら、責任取ってもいいけど? ミッキーちゃん」

 「ふざけないでっ!」

 「マジだから朝迎えに行った」


 わけが分からなくなってきた。

 どこまでが本気で、どこまでが嘘?


 「俺が言えることはもうない。あとは奈々ちゃんに訊くんだな」


 寿は涼しい顔のまま私に背を向けて出口の方へ向かっていく。