「すんごい……冷たくって……怖くて…………」


 寿が、奈々に――――


 「ミッキー……もう……ダメだよぉ……終わりだよ………………」


 一目惚れして、積極的な女の子たちを羨ましがってた奈々。

 勇気を出して声かけて、手を握られて、真っ赤な顔でフラフラ歩いてた奈々。

 それを、あの男は……





 許さない。

 絶対許さないっ!!





 女の子を何だと思ってるの??

 奈々の気持ちをもてあそんでっ。

 金があれば何してもいいと思ってんのかぁっ!! 

 寿……寿ィッ!!





 おのれ寿――――――――――っ!!




 メラメラ上がる怒りの炎。

 私の背後には地獄の業火が燃え立って、心の中はもう

 既に討ち入りに行く準備は万端。

 だけど、奈々は泣いている。

 涙がかれるまで背中をさすり続けてあげよう。

 泣き止んだら、愚痴を聞いてあげよう。

 そして二人で明日からのことを考えよう。



 私が絶対仕返しをする。

 ギャフンと言わせてやるからね!!



 その夜、奈々は真夜中まで泣いていた。

 泣き疲れて、奈々は私の胸に抱かれて寝息を立てている。






 可愛いなぁ……

 本当に妹みたいだよ。




 垂れ下がりながらも私に巻きついた奈々の腕をそっとどけて、

 奈々の身体をフローリングに横たえる。

 ベッドから上の布団を下ろして掛けてあげた。

 奈々の膝の上に乗っていたあどけない表情の大きなぬいぐるみが、

 フローリングに頭をつけて転がっている。

 ぬいぐるみを隣りに入れてあげると、奈々はそれに夢中で抱きついた。

 目が覚めたとき、元気になってればいいなぁ。