高飛車で、つっかかってばっかでマジ可愛くないけど、

 相当優しい女だってことは、よく分かった。

 俺みたいな奴とつき合って遊ぶような人間じゃない。


 「俺、もうお前に関わんないようにした方が良さそうだな」

 「何で?」

 「遊び飽きた」

 「それはアンタがゲームに負けたってこと?」


 怒るかと思ったのに、美希は冷静に返してきた。

 ある意味ではそうなるよな、俺は美希の人間性を見て、

 ゲームを降りたいと思ったんだから。


 「棄権する」

 「負けを認めたくないんでしょ? ズルイよ」


 不思議に嫌な気はしない。


 「そうかもな」


 そればかりか自然と笑いさえ込み上げてきた。


 「ブラフゲームを始めた意図は何だ?」

 「寿のこと、懲らしめようと思った」


 あっさり酷なことを言うから、不快になるどころか返って爽快だ。


 「じゃあ完全にお前の勝利だな」


 笑いながら美希を振り返ると、あいつは困ったような、悲しいような、

 真剣のような、なんとも微妙な表情を浮かべている。


 「あんまり……嬉しくない」

 「このゲーム面白かったぞ。結構………何つーかその…………リアルで」


 仕掛け人である美希を俺が慰めるいわれはないのに、

 俺の口は勝手にそんな台詞を読み上げていた。


 「私のこと好きになった?」


 露骨に訊くなよ、そんなこと。


 「俺は一生、誰も好きになんねぇよ」


 美希はその理由さえ知ってるはずだ。


 「だったら私の負けだね」


 予想外のことを言われたけど、驚きはしなかった。


 「下手な慰めは返って傷つくぞ」

 「私は星哉のことが一番好きだけど、寿のこと、嫌いじゃないよ」

 「それじゃあゲームが終わんねぇ」

 「まだ続ければいいんじゃない? 卒業まで半年以上あるんだから」


 美希に惚れるとか惚れないとか、そういう単純な問題じゃない。


 「一人でやれ………」


 ハッタリきかせて真実を偽るのは学校生活だけで充分だ。


 「寿と友だちになるにはどうしたらいい?」