突然意識がハッキリして、次の瞬間には瞼が上がり、俺は天井を見てた。

 無駄にシャンデリアなんか下がってるから、視界がスッキリしない。

 気分が良くないのは、酒が残ってるせいじゃなさそうだ。

 ところで、今何時だよ?

 時計を見ようとして、俺は心臓を吐き出しそうになった。


 「なっ何でいるんだよ!!」


 美希がベッドの隅で腕枕をつくり、寝てる。

 開いたままのケータイが床に転がってるから、

 時間潰してるうちに寝ちまったのかもしれない。

 こいつ何でここにいるんだ?

 俺、何した?

 全然記憶ねぇ。

 混乱する頭のまんま、とりあえず美希を起こすことにした。


 「美希起きろ」


 肩に手を置いて揺すったら、美希は緩慢な動きで顔を上げ、

 手で目をこすり始める。

 何つうか……猫が顔洗ってるみたいだ。


 「寿具合はぁ?」


 寝ぼけたような声でそんなこと言われたら、そっくりそのまま問いを返したくなる。


 「うわぁ」

 「おいっ!!」


 そんなこと思ってたら、美希が背後に引っ張られるようにのけぞった。


 「イタッ! 寿何すんのっ!!」


 瞬発的にヒジの辺をつかんで倒れるのを止めてやったら、

 美希手の甲が美希顎に当たった。


 「お前大丈夫かよ……」

 「それは私の台詞」

 言うことだけはしっかりしてるが、行動がおかしい。

 美希は立ち上がろうとしたがよろけるし、大丈夫と言ってきかないが、

 歩く足下がおぼつかない。


 「止まれ!」


 ふらふら歩く美希の肩に後ろから手をかけた。


 「何?」


 振り返った美希の目は案の定トロンとして潤んでる。

 掛けた手はそのままに、空いた左手を美希の顔に向かって伸ばした。

 高飛車な態度でいるくせに頬に寝あとがくっきり残ってる。

 あんなところに、何でいたんだろうな。

 どうやって入って来たんだ?

 鷹槻か?