こうなること予測して最初から行動できてたのか?

 どうなんだよ。

 そんなこと、問うまでもないことは分かってる。

 だって俺は美希を、不幸のどん底に突き落としたんだ。

 ベッドに仰向けになりながら、ひたすら悶々と考えていたら、

 鷹槻たちが帰ってくる気配がして、俺は私室を出た。

 言いたくねぇが、言わなくちゃならないことがある。

 琴音が買い物をしたらしく、両手いっぱいの荷物を持った鷹槻が

 リビングを歩いているところだった。


 「鷹槻お疲れ」


 琴音の姿はないから、もう自分の部屋だろう。


 「帰ってきて早々悪いけど、六時以降、フロント通して
 美希から電話あるかもしんねぇから予定空けとけ」


 重そうだが、鷹槻はわざわざ俺を振り返った。


 「承知致しました」


 軽く会釈する。


 「手伝おうか?」

 「寿様のお手を煩わせるようなことはございません」


 こういうときに、鷹槻は見せる。

 それはそれは完璧で朗らかな微笑みを。


 「そうかよ」


 何かムカついて、俺は私室に戻った。

 やっぱ鷹槻はウゼェ。

 ホントに、マジでウゼェよ。

 早くLA帰って仕事してぇな。

 上司とか同僚とか、ちょい目が気になるけど、あそこのが気が楽だ。

 ベッドにゴロッと横になって天井見つめてボーッとしてたら、ケータイが鳴り始めた。

 誰だ?

 みっ美希!?

 フロントの番号教えたじゃねぇかよ。

 メール消去しちまったとか?

 けどミスったとき俺に電話してくるようなタマか? あいつは。


 「どうした?」


 電話の意味が分からなくて一も二もなく唐突に尋ねた。


 「今日……ちょっと……何て言うか……悪かったなって、思って」

 「あぁ……別にいいけど」


 そんなことでコイツ電話してきたのか?


 「その………私のこと、心配してくれて? ありがとう」


 ガタンと音を立てて調子が狂いそうになる。

 美希、どうかしたのか?

 マジで言ってんの?

 美希に限ってありえねぇ。