「行くぞ」
車から降りるとき、あきらかに心が折れそうな
梨乃の手を取って、エスコートしてやった。
まずは職員室で梨乃の遅刻手続きをして、保健室に連れて行く。
今の時間にやってるテストを談話室で受けさせてもらう寸法だ。
今日行われるテストの最後の一科目。
十五分の遅刻は教室に入れて貰えないらしく、俺も談話室で古典を受験。
アメリカにいたから、向こうでの全く知識がほとんど使えない科目だ。
え~と、子の刻は何時か?
午前零時だよな、そして十一時からの二時間。
孔子についてなんか、弟子が『論語』を書いたことしか知らねぇよ。
子は先生って意味だから、先公か?
古代中国だからなぁ、いいや政治家ってことにしとけ、
という具合に適当に受けといた。
鷹槻の野郎、俺の教科書とか全部通読して日々の会話編んでんじゃねぇだろうな?
と思ったが、そんなことあるわけがない……と信じたい。
「できたか?」
テストが終わってから様子見るために梨乃に訊いてみたら、
曖昧に笑いながら首を横に振った。
そうだよな、こいつはテスト勉強どころじゃなかったんだから。
もう少し早く気づいてやれば良かった。
「夢花呼んで来るから、ここで待ってろ」
梨乃が不安そうな顔をする。
「逃げるだけじゃ何も変わらねぇってこと、身をもって知ったんじゃねぇの?」
高校デビューしたってことは、そういうことだろ?
「夢花はお前が憧れるほどの奴だ。反省して、誠心誠意持って謝れば許してくれる」
「うん。そうだね」
不安を隠した微笑みが頼りなかったから、頭をポンポンと軽く叩いてやった。
「助けてやるから、心配すんな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
孔子は春秋時代(中国)の学者であり、思想家です。儒学をつくった人。『論語』は孔子の言行を弟子がまとめたもので、弟子との問答などものっています。
参考文献『広辞苑』
車から降りるとき、あきらかに心が折れそうな
梨乃の手を取って、エスコートしてやった。
まずは職員室で梨乃の遅刻手続きをして、保健室に連れて行く。
今の時間にやってるテストを談話室で受けさせてもらう寸法だ。
今日行われるテストの最後の一科目。
十五分の遅刻は教室に入れて貰えないらしく、俺も談話室で古典を受験。
アメリカにいたから、向こうでの全く知識がほとんど使えない科目だ。
え~と、子の刻は何時か?
午前零時だよな、そして十一時からの二時間。
孔子についてなんか、弟子が『論語』を書いたことしか知らねぇよ。
子は先生って意味だから、先公か?
古代中国だからなぁ、いいや政治家ってことにしとけ、
という具合に適当に受けといた。
鷹槻の野郎、俺の教科書とか全部通読して日々の会話編んでんじゃねぇだろうな?
と思ったが、そんなことあるわけがない……と信じたい。
「できたか?」
テストが終わってから様子見るために梨乃に訊いてみたら、
曖昧に笑いながら首を横に振った。
そうだよな、こいつはテスト勉強どころじゃなかったんだから。
もう少し早く気づいてやれば良かった。
「夢花呼んで来るから、ここで待ってろ」
梨乃が不安そうな顔をする。
「逃げるだけじゃ何も変わらねぇってこと、身をもって知ったんじゃねぇの?」
高校デビューしたってことは、そういうことだろ?
「夢花はお前が憧れるほどの奴だ。反省して、誠心誠意持って謝れば許してくれる」
「うん。そうだね」
不安を隠した微笑みが頼りなかったから、頭をポンポンと軽く叩いてやった。
「助けてやるから、心配すんな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
孔子は春秋時代(中国)の学者であり、思想家です。儒学をつくった人。『論語』は孔子の言行を弟子がまとめたもので、弟子との問答などものっています。
参考文献『広辞苑』