惚れっぽい奈々は、告白とか、結構すぐにしちゃう方。

 決断力と度胸があるんだよね。

 だから私に気を遣ってくれてたんだってことが、よく分かったよ。


 「どうかな……」


 ちょっと上目遣いで、奈々は私を見る。

 瞳が潤んだように見えて、心細そうな表情があどけなくて。

 でも度胸と、決断力があるんだ、奈々は。

 私が嫌って言えないこと、ちゃんと分かってる。


 「うん……いいんじゃない?」


 ほら、言っちゃった。


 「ありがとミッキー。ウチ、頑張る!」


 ニッコリ笑った奈々は可愛くて、私はどうしても言わなくちゃって感じになる。


 「頑張ってね!」





 嘘つき。

 頑張って欲しくなんかないのに。

 放課後が、来なければいいのにって、心から思った。





 何も知らない星哉は授業中には先生の言うこと聞いて、

 黒板シッカリ見てるし、休み時間には奈々と楽しそうに喋ってる。

 奈々は行動力があるから、今日にでも告白しちゃうかもしれない。




 そうなったら、どうしよう。

 どうにもならないのに、どうしよう……



 時間が放課後に移って、私が掃除場所に移動しようとしたとき、

 奈々の声が耳に入った。


 「星哉クン星哉クン、今日クレープ食べに行かない?」


 クックレープ?

 ズキンと心臓に、突き抜けるような痛みが走る。


 「今日?」


 戸惑う星哉の声。