何で、寿は電話なんかくれたんだろう。

 学校じゃ声もかけてくれなかったし、昨日は

 あんな風に喧嘩っぽく別れちゃったのに。

 ちょっとは反省してるってこと?



 悪いことしたかな………



 待ち受け画面になってる液晶を見つめてたら、ため息が出た。

 考えるのやめよう、あんなワケ分かんない奴のこと。

 気になるのは、星哉のことだ。


 奈々のことどう思ってるのかな………


 私が寿に送って貰った日、あとで奈々から電話があって、すごく楽しそうだった。

 喫茶店に行って、星哉とずっと喋ってたみたい。

 何話してたんだろ。

 すごく、気になる。

 二人とは、もういつも通り喋ったりしてるけど、

 心の中はそんなにスグに切り替えられないよ。

 星哉はもう私のことなんか、忘れちゃったのかな。

 学校に行くのが、毎日憂鬱だ。

 奈々に

 「おはよう」


 って言ったあと、自分の席に座ってるのは何か変だし、

 だけど星哉が来たら二人にしてあげなきゃと思うし。




 本当はそんなこと、したくない。

 今日も私は奈々と、星哉が来るまで一緒にいて、

 星哉が登校してきたあとは、他の友だちのところに行った。


 「キャハハ~! 星哉クンそれおもしろいよ~」


 奈々が口に手を当てて、星哉の肩をペシッと叩く。




 何話してるの?

 今までだったら、私はあそこにいて、奈々は絶対星哉の肩、叩いたりしない。


 「どうした? 元気ねぇじゃん」


 寿の声が、唐突に耳に入ってきた。

 だけどそれはちょっと遠くて、私に言ってるんじゃないんだってことが分かる。

 視線を飛ばしたら、寿はクラスメートの女の子に笑いながら

 喋りかけてるところだった。




 彼女ができたんだよね、寿には二人も。

 ずるいよ……