二人って、星哉と二人でって、ことだよね。


 「告るとか、そういうんじゃなくってね、何ていうか
 その……どうなるか見たいっていうか……」

 「いいよ~」


 努めて明るく言ったのは、奈々のためじゃない。


 「ありがとミッキー」


 奈々と二人きりで帰るの、星哉はどう思うんだろう。

 星哉はきっと、私の中に星哉はもういないんだって確信を持つはず。




 終わりだ…………

 本当に、おしまいだ。




 悲しくて、だけど泣けなくて切なくて。

 二人の姿を見たくなかったから、私は絶対に

 見ないですむように、掃除が終わったあと教室で時間を潰してた。


 「たまには一人でいさせろ! 家でも大変なんだっつったろ?」


 寿が若干怒り気味で騒いでる。

 いいね、楽しそうで。

 当事者のはずなのに、一人で何も関係ありませんみたいな顔して。

 公認二股なんて、いつの時代のお貴族様ですか?

 私は机に座ってケータイをいじりながら、外の世界の音を

 シャットダウンしようとした。


 「実は俺な……今日人と約束してんだわ」

 「えっ誰っ!?」

 「教えない」

 「じゃあ、そこまでついてく!」

 「教えたら来ないんだな」


 寿のやつ、うまいこと言っちゃって。


 「行くよ?」

 「なら教えない」

 「分かったよ~、行かないからぁ」

 「梨乃は?」

 「わたしも行かない」

 「美希~っ」

 「「「えぇっ!?」」」


 三人の声がかぶる。