身体がやたらと密着してる。


 「助手席で、鷹槻がここ監視してるの知ってるか?」

 「そっそうなの?」


 目を丸くしたが、梨乃は一向に離れる気配ナシ。

 そうこうしているうちに夢花を乗せるため、車が止まった。


 「おはよっ」


 夢花はいつもと変わらない。

 一瞬だけ梨乃を見て、それから俺の隣りに座った。

 この状況を日本では、両手に花と言うらしい。

 あんまり、嬉しくないのは何でだ?

 嫌な予感がするぞ…………

 車降りるとき、二人は俺の腕を一本ずつつかみ、降りてもそれを放さない。


 「朝からお忙しくて、何よりです」

 「鷹槻……嫌味言ってんじゃねぇよ」

 「いいえ。経営者としての手腕をはっきするところですね」


 何が経営者だ、関係ねぇだろ。


 「鷹槻さん、おはようございますっ!」


 女が顔を赤くして鷹槻に挨拶をした。

 テメェだってこの学校入ったら、同じ目に遭うぞ。

 俺が保証してやる。

 そんなこと考えながら歩いてたら、玄関にきてこんなことになった。


 「こっち来てよぉ、上履きとれないからぁ」

 「わたしのが先だよ」

 「知るか! 手を放せ」


 上履き突っかけると、俺は一人で先に歩き出した。


 「あ~、待ってよ」


 二人があとから追ってくる。

 年齢的問題が、梨乃は退化、夢花は進化。


 「プリクラ撮りたいね~」

 「写真でいいだろ」

 「撮ろうよ!」


 こんな風に強引なのは夢花。