登校拒否っちまうぞ。


 「次の授業、一緒にやろうね?」


 梨乃は甘えたような上目遣いで俺を見上げる。

 外国の先生が英会話を教える、みたいな授業があって、

 それは決まってグループ活動だ。


 「俺をアテにすんなよ?」


 と言っておいたのに聞いちゃいねぇのか梨乃と夢花は、


 「寿く~ん、弁当を一生懸命つくったって、どう書くの~?」

 「趣味は料理ですって書きたいんだけど、どうすればいい?」


 こんな感じで昼休みと何ら変わらない、一種の戦闘

 みたいなことを二人でやっている。

 基礎うところは、どっちが俺に数多く質問をして答えさせるか。


 「分かった、全部書いてやる。集中すっから話しかけんなよ」


 時間ギリギリまでかかるように配分して、長文を書いてやることにする。

 一人作業をしてたらだんだん気持ちが静まってきた。


 「夢花、できたぞ」

 「ありがと~」


 書いてるうちに冷静になった俺の頭は、本来の自分を取り戻したらしい。


 「お礼に何くれんの?」

 「何でもあげる」


 俺の前でそんなこと言ったが運の尽き。


 「マジだな?」


 “彼女”なんだからな、それらしいことして貰うぞ。

 放課後、掃除のあとに俺は夢花を連れて帰った。

 梨乃が「わたしも」って言うから下顎持ち上げて、

 しっかり目ぇ見つめながら俺は言った。


 「夢花に裸見せられる?」


 梨乃は顔赤くして何も言わなくなった。

 早くしねぇと鷹槻と、五月のハエ女が帰ってくる。





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「五月蝿い」でウルサイと読みます。蝿(ハエ)女なんて、差別用語で使ったわけじゃないですよ!お怒り・ご不快、感じないでくださいね?