「良かった~ぁ。ウチ、ミッキーが許してくんなかったら、
 どうしようかと思ったよ~。一番の親友だと思ってたのにぃ……」

 「私もそう思ってた。ごめんね、本当に」


 嬉しくて顔が勝手に笑顔になった。


 「この件はおしまいにしない? ぜぇんぶ水に流しちゃお?」

 「そうだね」


 良かった。

 本当に良かった。

 奈々は私にとっても親友だ。


 「今日、星哉クンに言って来たの?」

 「ううん。前に、約束してたから来てみただけだよ」

 「約束?」

 「工藤くんに今度は絶対勝つから、
 試合見に来て欲しいって星哉に言われてたの」


 たった一ヶ月くらい前なのに、すごく懐かしい。


 「じゃあ知らないんだね?」


 奈々は確認するように問う。


 「うん」

 「今日電話とかで、来たこと言っちゃったりする?」

 「しないと思うよ」

 「良かった……」

 「え?」


 何で?


 「あの、ね……ミッキー………もう一つだけ、
 言わなきゃいけないことがあるの……」


 ゴクリと、私はツバを飲み込んだ。

 ないよ、ね……そんなこと…………

 奈々まだ、寿のこと好きって言ってたし………


 「ウチ……星哉クンのこと……好きになるかもしれない」


 耳を赤くして、膝の上の二つの拳を見つめて、奈々はハッキリと告げた。

 瞬間、頭のハンマーで殴られたような衝撃を受ける。


 「えっとそれは……」

 「最近好きかもって思ったのはね、寿クンと、
 別れてからだよ? だけど中学生のとき、ちょっといいなって、思って……」


 奈々の声が、遠くで聞こえる。


 「ミッキーずっと、好きだったでしょう?
 だから言わなかったし、諦めてたケド…………」




 奈々が、星哉を―――――