「きゃ~~っ! やめてぇっ!」


 急に叫ぶからビビッた。

 鷹槻なんか俺の手握り潰すかってほどつかむし。


 「そんなに私が欲しい? 罪ね!
 罪なのね! 私の存在って……」


 バカじゃねぇのか……

 深く長いため息が出た。


 「神様! どうして私をこんな姿に生んだの?」


 外見じゃなくて性格を恨めよ、そのせいなんだから。

 すっかり戦意喪失したのは俺だけじゃないようだ。

 鷹槻は俺のため息を聞いて、俺の手を解放した。


 「鷹槻、今何時だ?」

 「六時三分です」

 「飯の支度はどうなってる?」

 「そろそろだと思いますが」

 「なら、もう行くわ」


 二度目のため息を吐きながらベッドから降り、とりあえずリビングへ向かった。



 あんなのが姉だ、二十年間も。

 俺が零歳のとき、あっちは四歳。

 俺は物心つくまでの間に、何もされなかったよな……

 と、ときたま心配になる。

 それにしてもキス魔なのは治ってねぇし、性格はますます破天荒になってるし。

 結婚大丈夫なのか?

 と、一応義理で心配してやった。

 リビングでテレビを見始める俺。

 私室から出てきてどんくらい経ったと思う?

 俺の部屋のドア、リビングから見えてんだけど、あいつら二人、出て来ねぇ。



 おかしくねぇ?




 …………人の部屋で何やってんだよ!

 気分悪くなって自分の部屋のドアを思いっ切りノックした。

 ゴンゴン鳴りやがる。

 何で俺は自分の部屋に入るのにノックしてんだよ。

 ドアを押し開けたら、鷹槻がこっち向かって歩いて

 来てるところで、琴音が不快そうな顔をして俺のベッドに座っていた。


 「も~イイトコだったのに!」

 「こっ琴音様っ!!」


 珍しく、あの鷹槻が慌ててる。


 「自分の泊まるとこに帰れ! 鷹槻連れてっていいから」

 「あら、言ってなかったっけ? 今日からここで暮らすのよ?」