「そうか。分かった」


 別に俺は何も困らない。

 困らない。

 別にどうとも思わない。

 ちょっとイライラするけど。

 不愉快だな。

 うん……



 ―――――なんか、スゲェムカつくぞ。



 俺が気を遣ってやってんのが分かんねぇのかクソ女!

 人の腹殴るわ、説教たれるは!!

 マジ性格悪くねぇ?

 こうなったのは誰のせいだと思ってんだ!

 言ってみろ!!




 ………………俺だ。


 美希が腹殴ったのは俺が押し倒したからで、説教たれたのも押し倒したとき。




 ウーゼー。

 つうか、ヤベェんじゃねぇ?

 どうしようかな。

 いっそのこと、疑似恋愛を…………

 ダメだそれじゃあ、堂々巡りだ。

 堂々巡りしてるのは俺の思考回路も一緒。

 結局その日は何もできず、終わった。

 が、しかしこの日は何もできなくて良かったんだ。


 「ずっる~いっ!!」


 唐突に部屋の中が騒がしくなった。


 「ずるいずるいずるい! 何でこんなにイイトコ住んでるのぉっ!」


 こっこの声は………


 「私が花嫁修行してる間、寿はこんなところでのんびりと青春? ホントにずるいわ!!」


 ヤ~ベェ、逃げらんねぇ。

 カギかけたとしても、あいつはそれを強引に開けるか開けさせるかして入って来る。

 どうしよう……そうだ寝たふり!

 ベッドに入り、布団を掛けて俺は寝たふりをこいた。