「ウゼェんだよテメェ。ウザすぎて、ヤる気失せた」


 美希の上から退いて、俺は今度こそ部屋の外に出ようと思った。


 「寿がッ! 寿がそう勝手だからっ、唯夏さんとうまくいかないんだよっ!!」


 「分かったようなこと言ってんじゃねぇっ!!」





 刹那、振り返って俺は―――


 パチーンッ!





 「イッテェ」




 鷹槻に叩かれた頬がまた鳴った。

 だから俺はまた美希をベッドに押し倒す。


 「人の心もてあそんで、押し倒して、ウゼェ?
 アンタのがよっぽどウゼェんだよ!!」


 どう考えても不利なのに、美希は俺の下で全然ひるまない。


 「奈々がこんなこと知ったらどうなると思う? 自分のしたことに責任持ってよ」

 「分かったようなこと言ってんじゃねぇ!」

 「分かるわけないでしょ! 寿が何も話さないんだから!
 ウジウジしててバカみたい。ふざけないでよ。お金あったって力が強くたって、
 どうにもなんないことだってあるよ!!」


 わめきながら、美希は泣いていた。


 「悔しかったら自分が変わるしかないんだよ!!
 例えどんな手使ったって、変わるしかないの!!」


 んなこと分かってる。

 怒鳴り返そうとしたのに、頭の中に響く美希の声が邪魔して声が出なかった。


 「じゃなきゃ周りは何も動かない」


 唯夏がいなかった三年間、俺は遊んでばかりいた。

 刹那の快楽に身を任せて遊んでればいいと思った。

 俺には金があるし、そのうち政略結婚させられて自動的に家庭もできる。

 だから、一生そのまま遊んで入ればいいと思った。

 けど、そんなことして過ごした三年は、







 長かった。