荒い呼吸に嗚咽が混じりそうになる。

 そんなん許さねぇ。




 「ッ……ッ」



 小さくて、乾いた咳っぽいもんが口から出た。

 咳っぽいんじゃなくて咳だこれは。

 膝を少し引き寄せて、身体を丸める。


 「大……丈夫?」


 控えめな声にドキッとした。

 まだいたのかよ。


 「出てけ」


 「ごめんなさい」


 言い残して、美希は部屋の外に出て行く。

 んだと思ったのに、そんな気配いっこうにしない。


 どうしたんだ?


 しばらく待ってみたけど、部屋の空気に何の変化も起きなかった。


 「出てけっつうのが聞こえねぇ?」

 「聞こえたよ。だからごめんなさいって謝ったの」


 言うこときけねぇっつうことかよ。

 どこまでもウゼェ女だな。

 イライラしてきて俺は状態を起こすと、ベッドから下りる。

 美希がどこにいるのかなんて知らねぇ。


 「どこに行くの?」

 「お前がいないところ」


 後ろでに腕をつかまれた。


 「じゃあ、私が出てくよ」


 何故か沈んでるように聞こえる。



 気のせいだろ?



 だって俺はさっき美希を追い詰めて、殺すとかほざいてたんだぜ?