星哉、今頃試合中かな……


 総体の応援に行けるのは参加する各部のマネージャーはもちろん、

 写真部と放送部と応援団、そして生徒会。

 どれにも該当しない私と奈々は、総体期間中、

 ずっと学校で自習。

 GW明けてすぐこんなんだから、休み気分なんか全然抜けない。

 総体ってインターハイ予選のことだ。

 スポーツ部に入ってる全国の学生はGWに

 休みボケなんかしてられない。




 『県は必ず通過する。だから暇があったら関東大会、
 見に来いよ。今度は絶対、工藤に勝つから』



 インターハイは、星哉が三年間出たがってた大会。

 個人戦の組手で星哉は何度か関東に行っている。

 でもそこから先には……



 去年、インターハイ予選のあとにある選手権大会では、

 関東で負けた工藤くんに勝って、全国大会へ行った。

 だから今回は勝てるって、星哉は力強く言った。

 その決意が今朝、電話口で言ってたあの言葉。




 『試合見に行きたかったなぁ……』

 『県は必ず通過する。だから暇があったら関東大会、
 見に来いよ。今度は絶対、工藤に勝つから』




 何だか、試合を見たいって言った私のために

 今日戦ってくれてるみたいで、ちょっとドキドキする。




 大丈夫、星哉は今日勝つよ。

 去年みたいに優勝だってしちゃうかもしれない。

 昔から空手、やってたんだもんね。

 県では負けなしだもん。

 学校が終わると家に帰って、星哉からの電話を待っていた。


 「関東に行けることになった」


 星哉の嬉しそうな声。


 「おめでとう!! 関東大会、絶対見に行くからね!」

 「ありがとう。今時間ないから、かけ直すな」

 「うん。お疲れ様」



 明日は団体戦があるみたい。

 頑張れ、星哉。






 総体の二日は、のどかに流れていった。