「いいよぉ、ウチ、一人で頑張るもん」


 奈々は口を尖らせて、両手で持ったスクールカバンの紐をギュッと握る。


 「じゃあね」

 「え!?」


 次の瞬間、奈々は突然走り出し、私たち二人は取り残された。


 「帰ろ?」


 先に沈黙を破ったのは星哉。

 にっこり笑った顔が爽やかで、私の心臓ドッキドキ。

 第一印象最悪な彩並寿。

 だけどアイツのおかげで私は突然、積年の想いを達成。

 寿との出会いにだけは、感謝しとこうかな。