「おいっ!恭介、今何時?」


「えっと、」

恭介はズボンのポケットから時代遅れの柄ケー
を取り出した。


「8時20分!!」


「あと、5分しかないじゃん!!」


すると、大輔はアキレス腱を伸ばし、

シャツの袖を腕まで捲り、


「走るぞ!!志衣!」

「えっ?あっ!ちょっと!」


大輔はあたしの手を取り走り出した。


「おい!大輔!てめー!」


恭介もあたしの右手を取り走り出した。


「あっ!ちょっと!恭介まで!」




あたし達は坂を駆け上がる。



坂を上がっていくと、

さっきまで座ってた砂浜。

アイスを買った駄菓子屋。

告白されたテトラポット。


すべてが見渡せる。


朝日に照らされてるこの景色。


毎日見ても飽きない。


てか、あのテトラポットで恭介に告白されたんだよね………。


ずっと、ずっと昔から好きだった。


でも、振られるという恐怖に勝てず、

想いを伝えることもできず、


いつも、幼なじみという関係で想いを隠していた。


それが、今日からは、

こっこっ、恋人なんだよね?



まだ実感がないよ………。