嫌いだった。はずなのに・・・。


~夢~

「あんたなんかいらないの。早く消えればいいのよ。」


「なんで?なんでよ。」


「ウザいからよ。」


「じゃあなんで私なんか産んだのよ。」


「わたしだって産みたくて産んだわけじゃないわ。」


そう言って遠い暗闇に入って行く。

私が追いかけても探しても見つからない。






こんなはずじゃ、なかったのに・・・。
~現実~

‐7:00‐

私は飛び起きた。


「はぁ、はぁ、はぁ。」


いつもこうだ。


汗をかいていて、涙の跡がある。


「準備、しなきゃ。」




私は高校1年生、小沢柚香(オザワユズカ)


着替えて、洗面所へ向かう。


私は自分が嫌い。


なぜなら、恵まれて生まれてきたわけじゃないから。



顔を洗い終わると、台所へ向かう。


そして朝ご飯を適当に作って食べる。



正直、味なんかしない。


おいしいなんて、思わない。






だって、ずっとずっと・・・



1人だったから。




でも、もう慣れた。



朝ご飯を食べ終わると、髪の毛をセットして、家を出る。






私が1人で歩いてると、


「ゆーずか」


そう言って抱き着いてきたのは、



私が1番大切にしてる人、高橋美由紀。(タカハシミユキ)



美由紀は、私の事を何でもわかってる。


親に捨てられたことも、もう家族がいないことも。





まぁ、私が自分から話したんだけどね。





最初は友達なんて作る気、まったくなかった。



でも、入学式の次の日に、


「ねぇ、あなたも桂木くんのこと、嫌い?」


そう美由紀が聞いてきた。


私に話しかけてきた人なんて美由紀が初めてだった。


そして、


「うん。」

そう、答えた。




「よかった。」


そう言って美由紀はニッコリと笑った。


「なんで?」


私がそう聞くと、


「だってさ、桂木くんって、裏表があるっていうか。なんかヤバそうじゃん?」


「なんかよくわかんない。」


私は、美由紀がヤバそうとか言うから笑ってしまった。



「あ!やっと笑ったね^^」


「え?」



「だって柚香、全然笑わないんだもん。」


私は、『確かに。」って思った。


こんな自然に笑ったの、久しぶりだった。


いつも作り笑いだったから。

嫌いだった。はずなのに・・・。

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