『良夜……変だよ?どうしたの?』

「菜月…」

『ん?』


あたしが返事をすると


良夜と目が合った


その目は悲しそうで……


「怖いんだ……」


今にも壊れてしまいそうだった


『…何が怖いの?』

「光司に菜月を取られそうで…怖いんだ……」


あたしは


こんなにも苦しそうで


こんなにも辛そうで


こんなにも弱々しい良夜を


初めて見た


気付けば…


良夜を抱き締めながら


泣いていた


「……菜月?」

『……いよ…』

「え?」

『あたしは良夜から離れたりしないよ?』

「!!」

『むしろ離れられない……だってあたしは良夜じゃないとダメなの……』

「菜月…ごめんな……」

『ヒック……』

「俺は…弱すぎるな……」

『そんなことっ……ないっっ』

「え?」

『良夜はいつもあたしが困ったときに必ず助けに来てくれる。悩んでるときは一緒に悩んでくれる。良夜は……強いよ』

「菜月……ありがとな」


そう言って


笑った


良かった……


やっぱり大事な人には


笑っていてほしいよね……


って……


『ねぇ良夜?』

「ん?」

『どうして西山君にあたしが取られると思ったの?』

「それは…」

『それは?』

「光司は……いつも俺の友達とかの大切な人を…奪ってきたんだ」

『!?』

「しかも手に入ったら…直ぐに満足してその子の事を捨てるんだ……」

『!!!!?』