「もう既に住む場所は用意してある。」
「(本気かよ...。)」
ここで断ったら、何もかもがお終いだ...。
私はボスに向かって、なるべく思っていることに気づかれないように
精一杯の真顔でこう言った。
「住む場所とは、どこですか...?」
「お前らが潜入する高校すぐ近くのマンションだ。」
しょうがない...。
仕事ならこの状況を乗り切るしかない。
久我と必要最低限関わらなければいい話だ。
「もう下に車を待たせてある。
今からでも行けるが...どうする?」
『どうする?』って...。
その不敵な笑みからして、
『行け』って言ってるようなもんでしょ。
「行きます...。」
「久我は?」
「俺も、行きます。」
さっきからずっと気になっていたのだが、
ボスが『同居しろ』と言った時から一切表情を変えない。
焦っているのは私だけなのか...?
そう考えたら、なんだか今までごちゃごちゃといろんなことを考えていた自分が恥ずかしくなってきた。