「...一度会って気が合わなくても、どうせ拒否することはできませんよね...。」


「それはお前が一番よくわかってるはずだろ?

仕事を拒否したら、自分がどうなるかってことぐらい。」


「はい...。」


私は感情を持たない操り人形。
言われたことだけを実行する喋るロボット。


「ボス。もう下に来ています。」


「そうか。」


ボスの隣でずっと立っていた北条(ホウジョウ)さんという組合の男の人がボスの耳元で小さく報告すると、
表情を変えずにボスはそう言った。

その光景を見ると、ここにいる人はみんな感情が無いんだという事に改めて実感させられる。


「おい、蘭琉。

覚悟はできてるな? もうどれだけ否定しても後戻りはできないぞ。

特に今回はパートナー付きだ。」


「覚悟なんて、もうボスに呼び出された時からすでにできていました。

それより、今回のターゲットは...?」


パートナーの事は今の私にはどうでもいいこと。
一番気になるのはターゲットだ。

普通の高校生に、暗殺しなければいけない人物なんているのだろうか?


「ごく普通の、お前と同じ年の男だ。」


今回の任務は、男ばっかりか...。


「ただ一つ。

そいつは俺たちのことを知りすぎている。

今すぐにでも殺さなければいけない人間だ。」