苦笑いしながらそう言ったボスに、
私は表情を変えずにこう聞いた。


「その同業者の男は、どういう人間ですか?」


これからパートナーとなる人間の事を、何も知らない訳にはいかない。


「名前は久我 龍斗(クガ リュウト)。

殺しに関してはお前ぐらいの実力者だ。

ただ、銃は一切使えない。刃物で至近距離の暗殺しか無理だ。

両方使えるお前が囮になるだろう。」


「そうですか…。」


また足手まといが増える。

私と同じ実力者?
笑わせる。

銃が使えない奴が私と同じ力だなんて、
そんな訳無いだろ。

馬鹿にするな。


「今お前、『ありえない』って思ってるだろ?」


私がどれだけ頑張っても勝てない相手。

それはボスだけ。


「まぁ、会えば分かる。

悪い奴じゃない。気さくで、お前とも気が合うんじゃないか?」