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「ふうっ…」
「よし、行くか。」
ターゲットがいるという学校の前で
久我のその声を合図に車を降りる。
制服をぎこちなく着た私と
どこぞのアイドルかってぐらい制服が似合う久我。
「蘭琉、制服似合うな。
まあ、それもそうか。
俺ら一応、16だしw」
「あはは」
そんな他愛ない会話をしているが、
これから私たちがしようとしていることは
暗殺。
普通の高校生では、絶対にありえない事。
でも、私たちは“普通”じゃない。
“暗殺者”だ。
それから私たちは、
ほぼ同時に校舎内に足を踏み入れる。
「(緊張するな…。)」
同学年の女子の反感を買ったりはしないだろうか。
そんな事を考えてしまう。
「大丈夫か…?」
久我が心配そうに私の顔を覗き込む。
「だ、大丈夫…。」
「無理だけはすんなよ。」
「うん。」
新しいローファーを職員玄関の下駄箱に入れて
同じく新しい上靴を履く。
久しぶりな感覚に、緊張もあるが
なんだか心が踊った。
久我と私は違うクラスらしく
廊下の曲がり角で別れた。
「じゃあ、また後で。」
そういう久我に、私は軽く手を降ってから
ボスに言われた教室まで向かう。
「よし……。」
集中力を一気に高めて
足を進めていく。