店舗開発部ーーー

ここに、その人はいる。

「佐藤課長。」

「おお、神島。できたか?」

デスクから手招きで呼ばれ
軽く会釈し、部内に足を
踏み入れる。

「そんな緊張すんなって。
みんなが皆、敵じゃねえよ。」

そういって、彼は笑う。


「見せて。」

そう促され、おずおずと
完成した資料を手渡す。

…あんなに必死に集めてくれた
資料なので…なんだか
申し訳ない気分になる。


「よし。いいだろう。
神島、明日お前も会議に
でるんだぞ。」

佐藤課長は、そういって笑う。

「でも、俺…」

今日の明日で
プレゼンなんかできねぇよ

「大丈夫だよ。音村が喋れば
いい話なんだから。
そのつもりで、ワザワザ自筆の
コメントを書いてんだろ。これ。」


佐藤課長は、係長の文字を
指でなぞる。


「決裁したのが自分だって
矛先を変えたんだよ。
このイケメン共~
いい上司にあたったな。」