レンちゃんの手をつなぎ
屋上への階段を進む。

「どこ行くの?
そっち、事務所じゃないよ。」

「ん?屋上に行くから
こっちでいいんやで。」

この人こそ、
息抜きが必要やろ。

いつも、俺らの心配してくれて
それも、こっちが気づかん様に。

「ほんま…レンちゃんは…」

「こら。レンちゃん、じゃ、
ねぇだろ」


思わず、フッと笑みを
漏らしてしまう。

「そうそう、音村係長、なっ。」


スゴい女の子やと思う。

この業界で、この男系の企業で
どれだけの辛抱と努力を
してきたのか…


自分の肌で感じるよりも
あのチビが見てきた
俺らが知らん時代の彼女は
沢山の理不尽にさらされて
きたんやと思う。