「動くな。」

男の低い声に私は黙った。
私と背丈は変わらないが、大人っぽい顔つきに私はボーッと立っていた。

男は救急箱を見つけると私の手首をほどき、救急箱を手にとってきた。

「ほら、手ぇだせよ。」

私は手を出さなかったが。
男が「ほーら!!」と私を睨んだ。
しょうがなく、手を出した。

男は私の手からドクドクと溢れる血を見て、消毒をしようとしたのだが。

「はぁ?この家消毒もねぇのかよ。」

男の呆れ返った表情。
私はなんだか申し訳ない気がして。

「ごめん・・・なさい。」

謝った。