夏の日は、確か包帯でごまかした。

「怪我したの」って、笑って。

笑って。笑って。笑って。

全てが嘘だけど。
きっとそれから。私の笑顔は嘘に変わった。

連も。クラスメイトも。
全て憎く見えた。

笑っていられていいな。
私も母が生きていれば。
笑えたのに。

母が嘘をつかなければ、笑えたのに。

これじゃ、全て母のせいだ。

違う。

私はグッと力を入れて手首を切った。
真っ赤な血がじわじわと溢れ出す。
今はそれも、愛しく見えた。