☆皐side☆


俺はいつもどおり学校に向かった。



「皐~はよ。今日転校生くるんだってよ。」



「へぇ。俺には関係ねぇ。」



「それが女なんだよ。女!」


「だから何??」


「あいかわらず冷たいね~皐。」



「そんなんじゃ~真菜美ちゃんに振られるよ~」


「・・・はいはい。」


真菜美が俺を振るわけねーだろ。


あいつ俺にべたぼれだし。



「かわいい子だったらいいな~~」



「海、また食おうと思ってんのか!」


「僕がなにしようが、玲汰には関係ないよね!?」


「そーはいかねぇ。俺がもらう。」


「えー。僕だよ僕~~。」


はぁー。


今日も一段とうるさそうだな。


ねみぃ。


そーいや昨日寝れてねんだ。


そう思って顔をふせた。


すっかり"アイツ"のことも忘れていて・・・


ーーーーガラガラっ


あのはげじじいもう来たのかよ。


「おーい。お前ら席つけー。大神は顔あげろー。」



めんどくせぇし、うぜぇ。



「じぃー。転校生は??」


「誰がじぃだよ。言葉をつつしめ大神。」


「はーい。」


「では、転校生を紹介する。入れ。」


俺が再び伏せようとしたときだった。


「しつれいします。」


この声は・・・。そう目線には"アイツ"がいた。


なんでだよ。


なんでいるんだよ。



「児島乃愛です。よろしくお願いします。」



俺は開いた口がふさがらなかった。


だって"アイツ"が・・・。


乃愛がいるから。


透き通るような白い肌にパッチリ大きな瞳。


あの頃はショートだった髪もロングになっているせいか
ずいぶん大人っぽくなっていた。



「えーと。児島の席は・・大神の横が空いてるな。そこ座ってくれ。」


「・・・はい。」


まじかよ。


おい。


勘弁してくれよー。


と心の中で叫んだが聞こえるはずもなく。


「さ、さつきくんだよね??」


「お、おう。」



俺はあの日から疑問がいっぱいだった。



乃愛には聞きたいことがいっぱいあるんだ。



なぜ、あの時勝手に引っ越ししたのか??



と素直に聞くことができていなかった。



2人の間に重い空気が流れた時、先に口を開いたのは乃愛だった。


「皐くん。明日の放課後時間ある??」


「あるけど。」



「じゃあ屋上に来てほしいの。私ずっと待ってるから。」



そう言って乃愛は、教室から出ていった。


朝のホームルームはいつのまにか終わり、
周りの奴らは好きずきに動き回っていた。


俺は何も考えられず
ただただ椅子に座り空を見上げる事しか
出来なかった……。