「ねえ、樹…」


「ん?なんだ?」


私の方を向いた樹に私は言った。







「好き」






言った言葉はたったの2文字。


だけどその言葉は私たちの関係をぶち壊すには十分な言葉だった。


伝えてしまったら、もう消せない。


ホントに私は何故この状況で言ってしまったのだろうか。




樹は止まってしまった。



「……え…?」


小さな、その樹のその声に私は我に返って自分がさっき言ってしまったことに気づいた。



…私…今……。


取り返しのつかないことを言ってしまったことを理解して、顔がこれまでにないほど熱くなった。


そして、


「ご、ごめん…っ」


そう言ってドアの前にいた樹を押しのけて教室に走って戻っていった。