今私はウソをついた。


誰とも、約束などしていない。


咄嗟についたウソだった。


だけど私は屋上で食べたかったんだ。寒いのは嫌いだけど。


だって…。


来る保証はないけど、屋上で樹を待っていたかったから。


昼休みのこの時間だけだから、樹と過ごせる時間は。


だから樹が来ることを願って屋上に行く。


いつものように購買であんぱんを買って屋上に向かう。


今日は寒いのであんぱんを買う際に温かいココアを買って。


屋上を出ると、ビュゥ…と冷たい風が吹いた。


それに私は体をぶるっと震わせた。


「…さっむ……」


外に比べたら教室はまだ暖かい方だな、なんて思った。


でも、後戻りすることなくいつものフェンスに背もたれながら座った。


「…来ないかなぁ……」


吐く息が白かった。