だけど、そんなに甘くない。


そう期待したからって、絶対にその期待通りになるなんてことがあるわけがない。


思いも空しく私は帰り道に樹に会うことはなかった。


そううまくはいかないよね…。


家に着いて私はリビングの方へ、


「ただいま」


と言った。


するとリビングの方から


「おかえり」


と返ってきた。


その普通の人なら当たり前のことに私は思わず笑みがこぼれてしまった。


でもそんな姿は見せないように、靴を脱いでから唇をかみしめた。