みんなが帰った頃に樹が教室に入ってきた。


『ごめんな、待たせて…。渡したい物があったんだ』


『なぁに??』


ニコニコといつもの笑顔を見せながら私の手を取って、何かを握らされた。


手を開いて握らされたものを見ると、それは小さなイルカのマスコットだった。


『え?なにこれ、カワイイ…ッ。もらっていいの??』


『おぅ、愛華へのおみやげだ!気に入ってくれたみたいだな!』


カワイイし、樹がくれるものだったら私はなんでも嬉しいよ。


『おみやげってことは、どっか旅行にでも行ったの?』


『あぁ、親が商店街の福引きで旅行券当てたからさ』


『へぇ…。これ、ありがとね。大切にする』