さっき、立花さんに言われた言葉が都合良く蘇る。




『人に気を使って自分の幸せ後回しにすることなんて認めない』





確かに立花さんはそう言った。
だけど、それはこのメモを渡さなくてもいいってことまでは言ってない。


なのに、私の歪んでしまった心はそれを言い訳に、メモの存在を消そうとしていた。







「どうしたの?」




何も言いださない私の様子をチラリと横目で確認する友田。




そうだ。
この人のこういう気遣いに私は引かれたのかもしれない。



その優しさを、失ってしまうかもしれない
きっと、手を伸ばせばいつでも救い出してくれるだろう。




それは、私にだけではないけれど、里美さんのところへ行ってしまったら2度と救ってはくれない。





そんなの嫌だ。