この顔を横で見続けられるのは私じゃない。




膝に置いたカバンがまるで透けているように、中には言ったメモ用紙が浮かぶ。





「あ、あの……私」




「うん。竜から聞いたんでしょ?里美のこと」




「……な…んで?」




竜くんがあの話をしたのは、友田の部屋の中。
その時、確かに友田はいなかった。



なのに、なぜ?







「竜から電話来た。森嶋さんに話しちゃいましたって。アイツ若いくせに意外と律儀だから」




「あ……」




竜君らしいと思った。
私に口止めしたのも、自分からキチンと謝りたかったからなんだ。




「まぁ、過去に起こったことは否定してもしょうがないしね。竜は面白可笑しく事実を湾曲するようなヤツじゃないから、アイツの話したことは全て真実だよ。

まぁ、それを森嶋さんに話したところで、何も変わらない。でしょ?」