電話を切った友田は、すぐに私の方へと歩き出した。




一歩一歩近づいてくるたびドクンドクンと脈打つのが分かる。
チラリとカバンに入れたピンク色のメモ用紙に目がいく。






「呼び出してごめんね。大丈夫だった?」




「あ、はい」





このタイミングで渡さなくちゃと思いながら、何も知らない彼の顔を見ると言いだせない。








「今ならまだ間に合うんだ。じゃあ、行こうか?」


キーを車に向けて解錠した友田。





言わなくちゃ。



手を、カバンの中に入れた。





「あ……あの…」







緊張で声が裏返ってしまった。

振り向いた友田は、




「うん。飯食いながら話そう。今日はそこで絶対に食べたいんだ」