「いいです。だって私ちゃんと預かりましたから」




「ふーん。それでいいの?」




「はい。渡しますよ」








ふーんとバカにしたような立花さんの態度に、カチンと来る。



「バカじゃないの?って思うよ。わざわざ敵に塩を送るような行為。
そんなことしたって、誰も褒めてくれないよ」




「そんなこと分かっ――」



「分かってない。綾は分かってない。世の中正直人間が得をすることなんてほぼ無いんだよ?

そんなに人に気を使って自分の幸せ後回しなんて俺は認めない」




ペチンと額を小突かれた。



「痛っ」






「綾、好きなんだろ?友田のコト。ホントに良いの?」




え?



「す、好きなんて言ってない」



「言わなくたって分かるよ。この前、アイツの服着てニヤけた綾の顔見てたら誰だって分かる」