─── …… ・ ・ ・

 差し込む光。誰かがそこにいるのが、ぼんやり見える。


「起きなよ。みんなもう帰っちゃうよ?」

「えっ?」


ハッとして私は机から顔を上げた。外は音もなく雨が降り注いでいる。


「一、二時間目の全校集会もサボって寝てたのに、まだ寝れるなんてすごいね」


 少しムッとしてそいつの顔を振り返る。が、当の本人は毒気もなくニコニコとしている。机に突っ伏して寝ていた私の目の前に座る男の子。誰だろう、私には見覚えがない。


「あ、ミズキいたいた!」
 

 教室の入り口から響いた声のほうを向くと、いつも一緒にいる友達の三人がこちらをのぞき込んでいた。


「何ミズキまた寝てたの?」

「集会のときもいつもの木の下で寝るって言ってたのに?」

「そういうこと言わないの! 私がいつもいつでも寝てるみたいに…」

「だって普段そうでしょ」


 三人が口をそろえていう。がっくりと肩を落とすそんな私を、見知らぬ彼はクスッと。


「ちょっと、何笑ってんの!」

「あはは、ごめんね? でもさっきも結局木の下で寝てたから」


 え? 記憶にない。というより、木の下から戻ってきた記憶もない。


「おバカ。木の下で寝てたあんたをサク君が教室まで連れてきてくれたのよ!」

「ええっ?」


 ぎょっとして私は友達のミホと謎の彼・サクとを交互に見つめた。