「いい、訳ない。なんでこんなことすんの? だったら私の墓前にそう言っておけばいいじゃない! わざわざ私に会おうだなんてっ──」
「そう、だね」
そういうサク君の顔は笑っていた。対して私はよくもわからない涙で顔もぐちゃぐちゃだ。
「でも、そんな罪を犯した僕にも七夕の日にだけは、天の川に橋を渡してくれるから。どんな君であっても、会えるっていうのなら、構わない。それはきっと、あの日君と出会った僕なら、どの世界でも思える」
だから、この雨は僕にとって催涙雨なんだ…
本当にうれしそうに。黙れよって殴りたくなるくらい。
「聞いてくれてありがとう。これで、僕の話は終わり。だから、橋渡しも…もう、終わる」
サク君は私の手から傘をとり、私の目をまっすぐに見つめた。
「振り回してごめんね。でも、本当に嬉しかった」
「ねえ、さっきの言葉、本当?」
『どんな君であっても、会えるっていうのなら、構わない。それはきっと、あの日君と出会った僕なら、どの世界でも思える』