移動中、廊下で誰かに、ぶつかった。


正確には、向こうがぶつかってきた。


「いった!」


そう言って、私は転んだ。


莉乃さんが、手を貸してくれて、私は立ち上がった。



「…おぃ、大丈夫か?」


その声で、はじめて私は、誰にぶつかったのかと思い、振り返った。


新垣潤


それが、ぶつかった相手の名前。


しゃべったことはないけど、知ってる。


当然、向こうは私のこと知らないだろうけど。


新垣潤 彼はお金持ちのお坊ちゃん。それから、超俺様キャラ。
女子からは、それが、理由でモテる。


だから、私は、知ってる。


「大丈夫です。でも、よそ見しないで、気をつけて歩いてください。危ないですから。」