不意に昴が孝に
「で、孝どういうつもりだ?俺に相談なしに覇姫だと?」

孝が
「すまない。相談しなくて…だが俺は海に惚れた。だから覇道の覇姫にする。」

「え?」

急な話で私は何がなんやら…

「ちょ…えっ?…誰が誰に惚れたって?」
「俺がお前に惚れたんだ」
「ボンッ!」

私の顔が火を吹いた。
自分でも、顔が赤くなっていってるのが分かる。

「そんな…急に言われたって…しかも覇姫って何?」
私は、今ここにくるまでの疑問を孝にぶつけた。

「その事は俺から話す。」
昴が言った。

「覇姫とは、覇道の総長が惚れた女のことだ。覇道の総長…つまり孝が惚れた女。それが覇姫だ。覇姫は、覇道にとって命よりも大切な人だ。例え自分が死にそうになっても、覇姫だけは守らないといけない。それだけのものだから、他の族に狙われやすい。つまり、覇姫は覇道より大切なものだが危険がもっとも多いものだ。」

…覇姫の事は大体分かったけど、その覇姫が私⁉

「海は、覇姫になるのは嫌か?」
孝が、優しく私に聞いた。
「うーん…嫌じゃないけど、出来れば海は安全に暮らしたいんだけど…」


「…あははは‼」
今の今まで静かだった大地が急に笑出した。
「何⁈」

「だって海おもしろすぎじゃん!普通の女なら涙流して喜ぶぜ?なのに海は、安全に暮らしたい?あははは‼海は変な女だなぁ?」
その時私の中の何かが切れた。

「ふざけないで‼私を普通の女と一緒にしないで。簡単に人を裏切って自分の幸せしか考えない人達…そんな人と一緒にしないで。私は、ただ普通な暮らしをしたいだけ。家族で旅行行ったり、友達と遊んだり、彼氏とデートしたりそんな普通の生活が欲しいの…」

一気にまくし立てたせいかどっと疲労感が襲ってきた。

「ご、ごめんなさい。怒鳴るつもりじゃなかったの…本当にごめんなさい。」

言ってしまった後に後悔する癖は、いつまでたっても直らない。

「いや、いいんだ。俺がなんにも考えないで言ったのが悪いから…」

大地がもうしわけなさそうに言った。

「俺は嬉しいぞ。他の女と違う女だなんて興味深いじゃないか」


孝が不敵な笑みを浮かべた。