「大丈夫なわけないでしょ。

もしかして、脅されているとかじゃないよね。」

大声を出して、私の方に一歩近づく。

その表情は呆れと怒りの表情だった。



「違うよ。律の考えてるような関係の人じゃないから大丈夫。」


いや……。


違わないか……。


愛人契約してるなんて、どう考えても普通じゃないでしょ……。



「ずっと気づかないフリをしていたけど、もう限界よ‥‥。

昨日だって急にいなくなってどれだけ心配したか。

電話もつながらない。家に行ったらもぬけの殻だし。

これで何もないなんて言える?

美紅が学校とバイト以外にも何かやってることはなんとなくわかってる。

お願いだから答えて。何か変なことに巻き込まれてない?」


話してる律の表情がだんだんと悲しみに変わっていく。


多分私は、こうやって嘘と偽りを重ねて表面だけ取り繕うことでしか人と向き合うことができない。


相手と本気向き合うなんてこと誰であっても出来ないと思う。