突き刺さるような視線を掻い潜り、教室の自分の席に着いてようやくほっと息をつく。
「美紅。おはよう。」
「律。おはよ。」
毎朝、こうやって“おはよう”から始まるが、今日はいつもと違って深刻な表情と重い声色で話しかけて来た。
その表情だけで、もう隠せないと悟った。
ここで話すことじゃないと思い、場所を屋上へと移動した。
今まで律には全て話さないでいた。
律に心配をかけてしまっているのも知っていた。
巻き込みたくなかったし、面倒をかけたくない。
めんどくさい友達を持ったと思われたくないし、嫌われたくない。
もしかしたら軽蔑されるかもしれないという恐怖で話せなかった。
全部自分勝手な理由。