「私、そろそろ学校行くけれど、食べ終わったらお皿流しに置いといてね。」
「待て。俺も出る。
ついでに送るから乗っていけ。」
残ったコーヒーを飲み干し、お皿とカップを流しまで持って来てくれた。
駅まで徒歩10分、電車で15分、そこからまた徒歩10分の距離の学校まで車だと20分くらいだから少し早く着きそうだなと考えながら黒塗りの外車に乗り込んだ。
「帰りはトシに迎えに行かせるから、一緒に事務所に来い。」
「わかったわ。」
これから毎日送ってもらえるのかなと期待しつつ、通学が楽になるなと楽観的に考えていたが、よくよく考えたらこれも私を保護するという契約の一環なのかもしれない。
いつどこで狙われてもおかしくない。
私は、今そういう立場に立たされているということなのだろう。
改めて、やっかいなことに首を突っ込んでしまったなと思う。
しかし、後悔はしていない。
こんな現状を知らなければ、子どもたちは確実に犠牲になるのだから。