「僕…紗香ちゃんのこと好きだよ」


「じゃあ…!」



私は顔をあげて大樹を見た

…けど、言葉を失った




「でも…紗香ちゃんを特別好きだと思えない」


「え…」


私の前には大樹の困った表情

ずっと一緒だった私だったから分かったような微妙な変化だったけど


大樹は困ったとき親指と人差し指がかすかに動く


これが決定打だった


「だって、家族みたいに育ってきたでしょ…」


「…………」


「紗香ちゃんには…」


「私が…!私が…怒ってばっかりだから…?」


「え……?」


「私が…優しく出来ないから…可愛くないから…ダメなの?」


自覚はあった

大樹は昔から気が強くなくて、私がいつも引っ張ってあげてて

そんな関係だったからか、いつの間にか私は我が儘を言うようになっていた


そんな私に快く付き合ってくれていた大樹


優しい笑顔の大樹が私は大好きだった



「そんなことないよ…でも……」


大樹は言葉を切る


なんと言ったらいいか分からないというような

そんな表情をしていた