「私を庇う空斗を狙ったんだよ…私を力強く抱き締める空斗の腕の力が弱まり倒れてしまった。そのとき現実を見た。真っ赤な血が地面にダラダラと水溜まりのようになっているのを見て震えが止まらなくなった。『空斗っ！一人にしないでよっ！置いて行かないで…っ！』そう泣き叫んだ。なのに空斗は『大丈夫だ、結衣は幸せになれ。ずっと見てるから…。』そう言って目を閉じたんだ…」

兄貴が…空斗さんを殺したと言う事実に俺の中であることが浮かんだ。

なぜこの事実を知られてはならないのか…。

「私から空斗を奪ったアイツが許せない…空斗は私を必要としてくれる…唯一の人だった。なのに…なのに…五十嵐龍也はっ…だから殺してやる…復讐してやる。そう決めたんだ。でも、アイツは逃げたんだ。私に『時が来たら迎えにいく』そう言って…そのときが絶好のチャンスだ…そう思ってる…いくら流星の兄でも許せない…ごめんね…っ」

目の前で泣く結衣を守りたいと思った。